カプサイシンパワーで脂肪燃焼効果抜群!ピリリとした辛みの薬味【唐辛子】

薬味のチカラ 「唐辛子」と言えば、真っ赤な色をした赤唐辛子と緑色をした青唐辛子があり、どちらもピリッとした後を引く辛さが印象的な香味野菜ですよね。 日本では、古くから七味唐辛子や一味唐辛子が麺類の薬味として用いられてきました。 海外では、南半球や赤道直下の暑い地域や地中海周辺などでよく使われる香辛料として親しまれてきました。 日本に近いところでは、中国料理の代表的な調味料「豆板醤」「ラー油」の原料であり、韓国料理では定番の漬物「キムチ」には欠かせないものが唐辛子です。 薬味として「唐辛子」を使う時には、細かくして乾燥させたり焙煎したりしたものから作られた七味唐辛子や一味唐辛子を麺類や鍋物などに少量使うのが一般的です。

唐辛子(とうがらし)ってどんなもの?

唐辛子は、ナス科の植物の果実です。
ピーマンやパプリカと同じ仲間で、辛味の強いものを香辛料や調味料の原料として使うのが一般的です。
唐辛子の原産地は、南アフリカのメキシコで、主に熱帯の気温の高い地域でよく育てられている植物で、昔から香辛料として使われてきました。
日本では唐辛子は、江戸時代頃から一般的に食べられてきたのではないかと言われています。
それより前に既に日本に伝わっていたらしいとも言われていますが、そばやうどんが広く食べられるようになった江戸時代に、その薬味として七味唐辛子が広まったことが唐辛子が日本の食生活に溶け込むきっかけだったのでしょう。他に唐辛子を「南蛮」「鷹の爪」とも呼ばれることがあります。
九州地方の一部では、この唐辛子のことを「和胡椒」、ペッパー(胡椒)のことを「洋胡椒」と呼ばれています。最近流行の「ゆず胡椒」の「胡椒」は、唐辛子のことです。
唐辛子と言えば、赤い色をしているものが一般的ですが、未成熟の状態では緑色をしていて、成熟すると鮮やかな赤い色になります。緑色のものを青唐辛子、赤い色のものを赤唐辛子と呼びます。 薬味として使われるのは赤唐辛子が主流ですが、青唐辛子を使って作られる「ゆず胡椒」や「ペッパーソース」も見られます。

《ししとう(獅子唐辛子)》
「ししとう」は、唐辛子の中でも比較的甘みのある品種のものです。
甘みのあるものが多いですが、やはり唐辛子の仲間ですから稀に辛みの強いものもある場合が見られます。ある成熟すると、唐辛子と同じように赤い色になりますが、食用とする時は緑色の状態のものを食べます。「ししとう」という名前は、獅子の頭に果実の先端が似ていることから「獅子唐辛子」と呼ばれ、短縮されて「ししとう」と呼ばれることが一般的となりました。主に「天ぷら」に使われることが多いです。

《ハバネロ》
激辛ブームに乗って「ハバネロ」という名前を耳にしたことのある方は多いことでしょう。
「ハバネロ」は、世界一の辛さを持つとされている唐辛子です。ハバネロは辛いだけでなく、柑橘類の香りもある、一般的な唐辛子と比べると一風変わった特徴を持っています。

唐辛子(とうがらし)の旬

唐辛子は、花は夏ごろに咲き、夏から秋にかけて実を結びます。
なので、自然栽培のものはその時期が旬となります。
それ以外は、ハウス栽培が多く、一年中収穫されています。

唐辛子(とうがらし)の産地

現在市場に出回っている唐辛子のほとんどは、中国からの輸入物が多く、消費量の9割強を海外からの輸入に頼っています。

唐辛子(とうがらし)のチカラ(効能)

唐辛子の後を引くような辛さの正体は、「カプサイシン」という成分です。

カプサイシンには血行を良くし、発汗を促す働きがあるので、脂肪を燃焼し、肥満予防に効果があると言われています。
その他、ビタミンAやビタミンCが豊富で、夏バテの予防にも効果があります。

《カプサイシン》
「カプサイシン」は、唐辛子に含まれている辛さの主成分です。
カプサイシンには、味覚や嗅覚を刺激して、食欲を増進させる働きをします。
カプサイシンを体内に摂取すると、積極的に脂肪がエネルギーに代わるので、体温が一時的に高くなったり、汗が出てきやすくなったりするのです。体内に蓄積された脂肪を燃やすということで、肥満の予防にもなり、ダイエットにも効果的という訳です。
ただし、カプサイシンの辛味成分は刺激が強いため、摂取し過ぎると味覚が麻痺したり、胃の粘膜を傷つけてしまったりして、却って体に逆効果になるので、食べる時には摂り過ぎに注意が必要です。
カプサイシンの効果は他にも認められていて、体を温めるという刺激作用を期待してカプサイシンを練りこんだ肌着や靴下が製品化されたり、カプサイシンの刺激成分を防犯用の撃退スプレーなどに配合したものが製品化されたりして、食用以外の用途にも応用されています。

唐辛子(とうがらし)の使われる代表的な料理

湯豆腐、南蛮漬け、ペペロンチーノ、アラビアータ、キムチ

唐辛子(とうがらし)の加工品

七味唐辛子、一味唐辛子、ラー油、チリペッパー(カイエンペッパー)、チリソース、タバスコ(ペッパーソース)、豆板醤・辣椒醤(中華料理の一般的調味料)、コチュジャン(韓国料理の一般的調味料)、かんずり(新潟県の調味料)、ゆず胡椒(九州地方の調味料)、コーレーグース(青唐辛子を原料にした沖縄県の調味料)、もみじおろし、辛子明太子
※「かんずり」「ゆず胡椒」については「ゆず」のページで取り上げていますので、そちらもご覧ください。

《七味唐辛子》
「七味唐辛子」は、唐辛子の他に6種類の薬味を混ぜ合わせた日本で昔からよく食べられてきた調味料のひとつです。省略して「七味」と呼ばれることも多いです。
唐辛子以外の原料はその地域や製造元によってその組み合わせが微妙に異なっていることもありますが、黒ごま、麻の実、山椒、陳皮(ちんぴ)、けしの実、青のりという組み合わせが一般的です。
この中に出てくる陳皮とはみかんの皮のことです。
その他、紫蘇、海苔、生姜、菜種を入れる場合もあるようです。
うどんや蕎麦などの麺類や醤油味をベースにした汁物に薬味として使われるのが一般的な使い方です。
東京都台東区浅草の「やげん堀」、京都府京都市東山区清水の「七味屋本舗」、長野県長野市善光寺の「八幡屋礒五郎」の3店の七味唐辛子は「日本三大七味唐辛子」と呼ばれ、どの店も江戸時代から続く老舗の七味唐辛子販売店です。
「やげん堀」の七味唐辛子は赤唐辛子(焙煎)・赤唐辛子(乾燥)・粉山椒・黒胡麻・陳皮・けしの実・麻の実という組み合わせ、「七味屋本舗」の七味唐辛子は赤唐辛子(乾燥)・青海苔・粉山椒・黒胡麻・白胡麻・紫蘇・麻の実という組み合わせ、「八幡屋礒五郎」の七味唐辛子は赤唐辛子(乾燥)・生姜・粉山椒・黒胡麻・陳皮・青紫蘇・麻の実という組み合わせとなっています。

《一味唐辛子》
七味唐辛子は唐辛子以外のものを入れますが、「一味唐辛子」は、唐辛子のみで作られた粉末状の調味料です。省略して「一味」と呼ばれることが多いです。唐辛子ではなく、一味唐辛子と呼ばれるのは、「七味唐辛子」に対応してそう呼ばれるようになったと考えられています。
一味唐辛子も七味唐辛子と同じように薬味として使うのが一般的です。

《ラー油》
「ラー油」は、唐辛子を刻むなどしてごま油の中で弱火である程度の時間加熱して、唐辛子の辛味成分を抽出させた油のことです。そのため、色はごま油の黄色っぽい色とは違い、唐辛子の成分が出て赤い色をしています。
味は辛みがあり、香りも良いので、餃子のつけダレに入れるなど、中華料理全般に使われます。

《タバスコ》
「タバスコ」は調味料の名前というイメージがありますが、実は調味料全体を表す名称ではなく、実は商品名です。本当は「ペッパーソース」という調味料なのですが、タバスコと言った方が分かりやすい位知名度が高い商品と言えるでしょう。
ペッパーソースは唐辛子の一種「タバスコペッパー」と岩塩、酢などを原料として熟成し作られた調味料です。
タバスコと言えば、通常は赤唐辛子から作られている赤い色をしているものが一般的ですが、青唐辛子のハラペーニョを原料とした緑色のタバスコもあります。味は、赤いタバスコに比べると、緑色のタバスコの方が辛味が少し弱く、甘みもあるので、辛いものが苦手な方は緑色のタバスコの方がおすすめです。日本では、スパゲティにかけたり、ピザにかけたりする使用方法が一般的のようです。

《豆板醤》
「豆板醤」は、空豆と唐辛子を醗酵させて作った中国の味噌で、様々な中華量に使われている調味料です。豆板醤を使った料理は辛いものが多く、よく知られている中華料理には「回鍋肉」「麻婆豆腐」「担々麺」などがあります。

唐辛子(とうがらし)を薬味にするとピッタリ!の料理

*うどん・・・温かいうどんに七味唐辛子、一味唐辛子をふりかけて。
*蕎麦・・・温かい蕎麦に七味唐辛子、一味唐辛子をふりかけて。
*焼き鳥・・・焼きたての焼き鳥にパラパラと七味を降りかけて。
*納豆・・・ねぎなどの薬味と一緒に唐辛子も入れて。
*焼肉・・・焼肉のタレに少量入れて。
*鍋物(水炊きなど)・・・ポン酢やごまだれなどの鍋物のタレに少量入れて。

薬味レシピ 〜唐辛子(とうがらし)〜

スパゲティ・アラビアータのレシピ唐辛子でアラビアータ

「アラビアータ」は、イタリアのパスタ料理のひとつです。
唐辛子を使った辛いソースでまるで食べた後に怒っているかのように顔色が赤くなるので「アラビアータ=怒りんぼ」という名前がつけられました。
ペンネを使ったものを「ペンネ・アラビアータ」、スパゲティを使ったものを「スパゲティ・アラビアータ」と言います。ここでは、「スパゲティ・アラビアータ」の作り方を紹介していますが、基本の作り方はほぼ一緒なので、スパゲティをペンネに変えれば、「ペンネ・アラビアータ」になります。
また、トマトソースと相性のいい茄子を使うなどのちょっとしたアレンジを加えてもおいしいですよ。

【スパゲティ・アラビアータの材料】
2人分
 【スパゲティ・アラビアータの作り方】
スパゲティ・・・200g
トマト水煮缶(カット)・・・1/2缶
唐辛子・・・2本
パセリ(みじん切り)・・・適量
オリーブオイル・・・少量
にんにく(みじん切り)・・・10g 塩・・・少量
  1.フライパンにオリーブオイル、にんにくのみじん切りと半分に切った唐辛子を入れ、焦がさないように弱火でじっくり加熱してオイルににんにくと唐辛子の香りと味を移す。

2.1にトマトの水煮缶を入れ、少し煮込んでから塩で味を調える。

3.鍋にお湯を沸かし、沸騰したら、塩をひとつまみ入れて、スパゲティを茹でる。

4.2のソースに茹で上がったスパゲティを入れて、よく絡めたら、皿に盛り付け、上にパセリを飾って出来上がり。

薬味豆知識 〜唐辛子(とうがらし)〜

唐辛子にはカプサイシンという成分が含まれていて、それが脂肪燃焼を助ける働きをするのでダイエットにも効果的だということから、最近唐辛子ダイエットというダイエット方法もあるようです。
ところが、痩せるからと言って、唐辛子を食べ過ぎると体に良くない影響を与えることもあるようです。
例えば、巷で密かに囁かれている「唐辛子を食べすぎると痔になる」という噂。
これは本当なのでしょうか?

唐辛子に含まれるカプサイシンは、消化の過程では分解されないので、当然便として体の外に排出されるということになります。このカプサイシンは皮膚や粘膜に触れると、痛みを伴う刺激を与えるということがあります。
ですから、トイレで用を足している時に痛みを感じるため、トイレにいる時間が長くなって、その結果時になりやすいという説があるのだそうです。また、辛い食べ物を食べた時に肛門の血管が収縮して血流が悪くなり、その結果痔になりやすくなる可能性があるとも言われています。実際には、まだ痔と唐辛子の因果関係は解明されていないというのが本当のようです。これが本当ならば、辛いものをよく食べる東南アジアの国の人やキムチを常食としている韓国の人は、みんな痔持ちということになってしまいますよね。現実にはそのようなデータは公表されていないので、実証もまだされていません。
だからと言って、絶対大丈夫だということも言えないので、辛いものの好きな方は程ほどに食べるのが体にもいいようです。実際に痔になってしまった場合には、前述したような効果は痔には悪影響があるのは明白なので、こちらに該当する方は辛いものは少し控えめにした方がいいかもしれません。