健康にも有効な日本の食卓には欠かせない定番の薬味です!【ねぎ】

薬味のチカラ 「ねぎ」と言えば、和食だけでなく洋食、中華の食材にも使われる万能の野菜ですよね。
どんなご家庭にもねぎ(ネギ)だけは常備してあるというところか多いのではないでしょうか?
ねぎ(ネギ)は、薬味として使うにはとても手軽で、その上体にも好影響も及ぼす、まさに薬味としてはうってつけの食材です。
薬味として「ねぎ」を使う時には、ねぎのツンとした辛味や香りが苦手でなければ、食べる直前に刻んだ方が香りも効果も高い上に薬効も得られるのでおすすめです。

ねぎ(ネギ)ってどんなもの?

ねぎ(ネギ)は、独特の香りを持つ野菜で、薬味としては一般家庭でも最も気軽に使われている薬味です。
日本では、昔から関東では土をかぶせて育てた白い部分の多い白ねぎ、関西では太陽の光を当てて育てた緑色の部分の多い青ねぎが好んで食べられていましたが、流通環境の発達により今ではその料理によって使い分けられることも多くなりました。
白ねぎは一般的には「長ねぎ(長葱)」という名前でスーパーや八百屋さんで売られているものがそうです。
白ねぎで有名なねぎには「深谷葱」「下仁田葱」千住葱」などがあります。
青ねぎで有名なねぎには「九条葱」「万能葱」」などがあります。
その他、ねぎ(ネギ)に似た野菜には、「わけぎ(分葱)」や「あさつき(浅葱)」があります。

《ねぎの仲間「わけぎ」》
「わけぎ(分葱)」は、ネギ科の植物で、ねぎとたまねぎの性質を併せ持つ雑種のねぎです。ねぎ(ネギ)と比べて根元がたくさんの株に分かれていることから「分葱」という名前がついたようです。
わけぎの見た目は葱よりもかなり細く、緑の部分が多く、柔らかいのが特徴です。
味もねぎのようにツンとした辛さはなく、甘みもあります。
栄養面では、ねぎ(ネギ)と共通の効能があり、わけぎは韓国でもお馴染みの食材で、チヂミなどの材料にもよく使われています。

《ねぎの仲間「あさつき」》
「あさつき(浅葱/浅月)」は、わけぎと一緒でねぎ(ネギ)の一種ですが、わけぎとはまた別の種類のねぎです。わけぎと比べると辛味が強く、香りも強いものが多いです。
日本古来からの色の表現として使われる言葉「浅葱色(あさぎいろ)」というのもこのあさつきが語源です。
北海道や東北地方では、冬から春先にかけて新芽の部分のあさつきを春を告げる野菜として重宝されています。新芽の部分は甘みがあり、辛味が少なく、茹でておひたしや酢味噌あえなどにして食べることが多いようです。
わけぎとあさつきは別の種類のねぎですが、関東では、青ねぎを若いうちに収穫したものを「あさつき」と呼んで出荷しているところもあるようです。

ねぎ(ネギ)の旬

ねぎ(ネギ)は、1年を通して出荷され、スーパーの野菜売場や青果店でも年中買うことの出来る野菜ですが、一番味が良くなるのは冬場だと言われています。
ねぎ(ネギ)は冬になって気温が低くなってくると、甘みや風味が一段と増すので、ねぎ(ネギ)の旬を挙げるとするならそれは11〜2月頃の冬場と言えるでしょう。

ねぎ(ネギ)の産地

ねぎ(ネギ)は、日本全国各地で栽培されていますが、特に生産量の多いのは、千葉県、埼玉県、茨城県、群馬県などの関東地方が中心となっています。
その他、北海道、鳥取県、新潟県、大分県、福島県、福岡県などねぎ(ネギ)の産地として知られています。

《「殿様ネギ」とも呼ばれる下仁田葱が有名な群馬県下仁田町》
群馬県の下仁田町は、白ねぎの中でも特に太いという特徴を持つ「下仁田ねぎ(下仁田葱)」の産地として有名なところです。下仁田葱は、江戸時代には既に下仁田の地で栽培されていて、江戸に住まう大名や旗本からの下仁田葱を届けて欲しいという注文の手紙が今に残っていることから、「殿様も欲しがった葱」ということで「殿様ネギ」という別名もある程です。
下仁田葱が有名なのは、その味にあるようです。
下仁田葱は他のねぎ(ネギ)と比べると栄養成分も豊富で、生では一段と辛く、加熱すると短時間でも独特の甘みが出る上に柔らかさと舌触りも抜群と言われており、食通の間では最高のねぎ(ネギ)という評価も受けています。
下仁田葱は、この下仁田の土地の気候と風土にぴったりと合ったもので、他の土地で同じものを栽培しても同じような風味の下仁田葱はできなかったという経緯もあって、「下仁田葱は下仁田に置け」と言われるようになったそうです。

ねぎ(ネギ)のチカラ(効能)

ねぎ(ネギ)には、たくさんの栄養成分が含まれています。栄養的には、太陽の光をたくさん浴びて育った青ねぎの方が優れています。ねぎ(ネギ)の緑色をした部分には、カルシウム、ビタミンA、ビタミンCなどが多く含まれており、そのため緑色の部分の多い青ねぎの方が栄養豊富という訳です。
しかし、ねぎ(ネギ)に含まれているピリッとした刺激の素は、硫化アリルという物質です。硫化アリルはタマネギやニンニクなどにも同様に含まれていて、ねぎ(ネギ)の白い部分に多く含まれています。
ねぎの薬効硫化アリルのひとつ・アリシンは食欲を高めたり、消化器系の働きを高めたりする効果や血行を良くするという効果があります。
ということで、ねぎ(ネギ)は緑の部分には栄養が、白い部分には薬効があるということで、とにかくどんなネギを食べてもねぎ(ネギ)は体にいい食材であるということは間違いがないと言えるでしょう。
その他、ねぎ(ネギ)は昔から咳や痰を鎮めたり、疲労回復にも効果のある野菜として民間療法にも用いられたりしてきた万能の野菜でもあります。
また、ねぎ(ネギ)には、その独特の香味成分に肉や魚の臭みをありますので、薬味として使うというのはとても理にかなった食べ方だということです。

ねぎ(ネギ)の使われる代表的な料理

焼き鳥、鍋物全般、お好み焼き、味噌汁、ぬた、ねぎトロ、ラーメン、鴨南蛮

ねぎ(ネギ)の加工品

ねぎのど飴、乾燥ねぎ(ドライフード)、ねぎ味噌、ねぎ油

ねぎ(ネギ)を薬味にするとピッタリ!の料理

*味噌汁・・・小口切りにして最後に浮かべて。
*そうめん・・・わさびやしょうが、ゆずなどと一緒にめんつゆ入れて。
*うどん・・・温かいものは上にかけて、冷たいものはつけ汁に入れて。
*蕎麦・・・かけ蕎麦は上にのせて、ざる蕎麦はかえしに入れて。
*ところてん・・・彩りも兼ねて小口切りにしたものを上にのせて酢醤油で。
*冷奴・・・おろししょうがと一緒に上にのせて、醤油をかけて。
*鰹のタタキ・・・小口切りにしたねぎとおろししょうがをのせて醤油やポン酢で。
*揚げ出し豆腐・・・揚げ出し豆腐の上に白髪ねぎをたっぷりと飾って。
*あんかけ料理(魚の揚げ物など)・・・上に白髪ねぎをたっぷり飾って。
*納豆・・・からしやごまと一緒に入れて醤油をかけて。
*焼肉・・・タレに細かく切ったねぎを入れて。
*鍋物(水炊きなど)・・・大根おろしと刻んだねぎをポン酢に入れてつけダレに。
*トンカツ・・・大根おろしやごまと一緒に上にのせてポン酢をかけて和風で。
*ハンバーグ・・・青じそと一緒にハンバーグにのせてポン酢をかけ、和風でどうぞ。
*ラーメン・・・薄く小口切りにしたねぎをたっぷりのせて。
*麻婆豆腐・・・最後の仕上げに細かく切ったねぎや白髪ねぎを上に散らして。

薬味レシピ 〜ねぎ〜

ねぎぬたのレシピ

ねぎを使った料理はたくさんありますが、薬味として使う場合はねぎ(ネギ)はどちらかと言うと、メインの食材の引き立て役で、ねぎ自身が主役になるということはあまりないようです。
そんな名脇役のねぎ(ネギ)が主役の数少ない料理をご紹介します。
「ねぎぬた」はまさしく「ねぎ」が主役の料理と言ってよいでしょう。
ここでご紹介する材料に、イカなどのお刺身やかまぼこ、ちくわ、こんにゃくなどを加えると、少し豪華なおかずにもなるので、手早く作ることのできるメニューとして作り方をマスターしておくと何かと便利ですよ。

【ねぎぬたの材料】
2人分
 【ねぎぬたの作り方】
ねぎ・・・2本
白ごま・・・おおさじ1
味噌・・・大さじ1
砂糖・・・大さじ1
酢・・・大さじ1
  1.ねぎは3〜4cmくらいの長さに切って、茹でてザルにあげて冷まし、水気を切る。

2.砂糖、酢、味噌、ごまをすり鉢に入れて、ゴマをすりながらよく混ぜる。

3.2に水気を絞ったねぎを入れて、よく絡めたら、皿に盛り付けて出来上がり。

薬味豆知識 〜ねぎ〜

ねぎ(ネギ)は日本人が昔からずっと食べ続けてきた親しみ深い野菜です。
昔から良く食べられてきた食材には、得てしてことわざや格言などに使われているということが多いように見受けられます。
そんなねぎにまつわることわざにはどんなものがあるのでしょうか?
最も代表的なことわざとしては、やはり「鴨がねぎをしょってくる」ということわざが挙げられますね。
ねぎ(ネギ)のことわざでは、やはりこれが一番有名です。
鴨とねぎは料理をする上ではこの上なく相性の良い食材だと思われているので、鴨がねぎを背負ってきたら、これほど好都合なことはないと昔の人は思ったのでしょうか。そんなことから「願っていることが向こうからやってくる」「大変好都合なこと」をこのようなことわざで表現したのですね。
「棚からボタモチ」ということわざを「棚ボタ」と省略して言うように、このことわざも省略して「鴨ねぎ」と呼ぶこともあります。