焼き魚や鍋物の薬味にピッタリ!クエン酸効果で疲労回復にも効果抜群!【すだち】

薬味のチカラ 「すだち」と言えば、ゆずの仲間で緑色をした柑橘類ということは分かるけれど、その詳しいことを尋ねられると実はよく分からない…という人は多いことでしょう。 実際に、同じくゆずの仲間で緑色をした「かぼす」とよく似ているので、どちらが「すだち」でどちらが「かぼす」か正確に答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか? すだち(酢橘)は、緑色をしているものはまだ熟していない状態の果実の状態で市場に出荷され、薬味として使う場合には、その果汁を絞って使ったり、緑色の皮の部分だけをすりおろして使ったりします。

すだちってどんなもの?

すだち(スダチ)は、みかん科の木になる果実です。
ゆずの近縁種として、徳島県で特に栽培されてきた柑橘類です。
5月頃に白くかわいらしい花を咲かせ、実をつけます。
収穫期のすだちの果実の大きさはゴルフボール程度で、重さは25〜50gと小ぶりなのが普通です。
収穫はまだ熟す前の皮が緑色のうちに行い、それを過ぎ実が成熟すると皮の色はみかんのように黄色くなり、一般的に言われているすだち(スダチ)独特の香りは消えてしまいます。
「すだち」とカボスすだち(スダチ)とよく間違われるのが同じく緑色をしている「かぼす」ですが、大きく異なっているのはその大きさです。ゴルフボール程度の大きさのすだち(スダチ)よりも一回り大きいのがかぼすで、重さも2〜3倍になります。

すだち(スダチ)の旬

すだち(スダチ)は、緑色のまだ熟していない状態のものが商品として出回るため、収穫できるのは非常に短い期間だけです。すだち(スダチ)は、露地栽培のものは8月下旬から店頭に並び始め、10月中旬まで出荷されます。最もピークを迎えるのは9月〜10月頭です。露地栽培のものが出回る前の3〜8月の時期はハウス栽培のすだち(スダチ)が出荷され、それ以外の10月下旬から3月中旬までは、既に収穫されたすだち(スダチ)を貯蔵したものが出荷されます。

すだち(スダチ)の産地

日本国内で生産されているすだち(スダチ)のほとんどは、徳島県で収穫されています。
徳島県は、すだち(スダチ)の生産量が日本一で、栽培面積・生産量共に9割強のシェアを誇っており、徳島県の「県の花」には「すだちの花」が制定されている程です。最近では、そのすだち(スダチ)をモチーフにした徳島県のマスコット「すだちくん」が脚光を集めています(第1回ゆるキャラ大賞受賞により一躍有名に)。

《すだちの名産地・徳島県神山町》
日本一のすだち生産地・徳島県の中でも特に生産量が多いのが、名西郡神山町です。
神山町の山間部に位置し1日の寒暖の差が激しいという気候条件がおいしいすだち(スダチ)を育んでいるそうです。
すだち(スダチ)と言えば、焼いたさんまの薬味としても定番であるという縁で「目黒のさんま」で有名な東京都目黒区の「目黒のさんま祭り」がきっかけで、さんまの水揚げで有名な岩手県宮古市と姉妹都市となったという経緯もあります。

すだち(スダチ)のチカラ(効能)

すだちに含まれている酸味の成分の正体は「クエン酸」です。
クエン酸には新陳代謝を活発にする働きがあり、疲労回復に効果的です。
また、すだち(スダチ)は柑橘類の中でも「ゆず」に次いでビタミンCの含有量が豊富です。
ビタミンCやクエン酸などの相乗効果により、食欲を高め、胃腸の働きを正常に保つための手助けをします。
また、柑橘類に多く含まれている香りの成分「リモネン」には、心を落ち着け、気持ちを鎮めるという効果もあります。まさにすだち(スダチ)は疲れている時にはピッタリの食材と言えるでしょう。

《すだち独特の含有成分・スダチチン》
すだち(スダチ)の香りは、すだち最大の特徴でもありますが、その香気成分として、すだちにのみ含まれているという特異な成分があります。そのひとつが「スダチチン」という香気成分です。
2006年に徳島大学の研究チームが発表した研究結果によると、このすだちに含まれているスダチチンなどの成分には血液中の血糖値を下げる役割のインシュリンの働きを助ける効果を持っていると見られるのだそうです。この結果が完全に実証されて実用化されれば、すだちには糖尿病の治療にも一役買うことになりそうです。

すだち(スダチ)の使われる代表的な料理

冷やしそうめん(徳島の郷土料理)、押し寿司、すだち蕎麦

すだち(スダチ)の加工品

すだち酢、すだちぽん酢、すだち醤油、すだち味噌、すだち胡椒、すだちマーマレード、すだちジュース、すだち焼酎(すだち酎)など すだち酢 すだち酢は、「酢」という名前はついていますが、普通の酢とは違い醸造によって作られたものではありません。すだちの果汁を絞った100%天然果汁の酢が「すだち酢」です。 香りが良いので、塩分を減らした料理にも効果的です。 醸造酢にありがちな鼻にくるツーンとしたにおいがしないので、酢の苦手な人にすだち酢はおすすめです。

《すだち酢》
すだち酢は、「酢」という名前はついていますが、普通の酢とは違い醸造によって作られたものではありません。すだちの果汁を絞った100%天然果汁の酢が「すだち酢」です。
香りが良いので、塩分を減らした料理にも効果的です。
醸造酢にありがちな鼻にくるツーンとしたにおいがしないので、酢の苦手な人にすだち酢はおすすめです。

すだち(スダチ)を薬味にするとピッタリ!の料理

*そうめん・・・皮をすりおろして添えて。
*冷奴・・・皮を刻んで彩りと香りを添えて。
*刺身・・・輪切りや半分に切ったものを添え、果汁を絞りかけて。
*焼き魚(特にサンマなど)・・・半分に切って添え、果汁を絞りかけて。
*焼き松茸・・・半分に切って添え、果汁を絞りかけて。すだち
*松茸の土瓶蒸し・・・スライスしたものを添えて。
*豆腐料理・・・半分に切って添え、果汁を絞りかけて。
*鍋物・・・皮をすりおろしてつけだれに入れて。
*天ぷら・・・天つゆにすりおろした皮を入れて。
*お吸い物・・・スライスしたものや皮を刻んだものを浮かべて。

※すだち(スダチ)は、薬味として使う場合は、「半分に切る、輪切りにするなどして添え、食べる時に絞って果汁をかける」「皮の部分だけをすりおろして添える」「皮の部分を刻んで添える」「果汁を絞って、タレなどに足す」などの食べ方があります。

薬味レシピ 〜すだち(スダチ)〜

すだち(スダチ)ドレッシングのレシピ

すだちにピッタリなものと言えば、その爽やかな香りと酸味を生かすことのできるドレッシングではないでしょうか。すだちドレッシングは、どんなものにでも意外に合うという万能のドレッシングです。
作り置きしておけば、色々と重宝しますので、すだちがたくさん手に入ったら作り置きをおすすめします。

【すだちドレッシングの材料】
2人分
 【ごま和えの作り方】
すだち・・・3〜4個
オリーブオイル・・・大さじ3
ニンニク・・・1片 ※好みで

塩・・・1/3
砂糖・・・小さじ1/2
胡椒・・・少量
  1.すだちを半分に切り、果汁を絞っておく。種が入っていたら取り除く。

2.ニンニクはすりおろす(好みで入れてください)。

3.ボウルに1のすだち、2のニンニク、オリーブオイル、砂糖、塩、胡椒を入れて、よく混ぜ合わせて、出来上がり。

冷蔵庫に入れて2〜3日間程度は保存も十分OK。

すだち海鮮ちらし寿司のレシピ

寿司酢を作る時に酢の代わりにすだちを使うと、塩分控えめで、香り豊かな寿司飯を作ることをできます。
すだちを使うと酢の苦手な人も食べられるようになり、おすすめです。

【すだち海鮮ちらし寿司の材料】
2人分
 【すだち海鮮ちらし寿司の作り方】
ご飯・・・2合
刺身・・・適量
大葉(千切りしたもの)・・・1枚
白ごま・・・適量
すだち・・・4〜5個分(大さじ2程度)
昆布だし・・・大さじ1
塩・・・小さじ1/3
砂糖・・・大さじ1
  1.ご飯は合わせ酢の分(60cc)分の水を減らして炊いておく。

2.すだちを半分に切り、果汁を絞り、種が入っていたら取り除く。

3.ボウルに2のすだち、砂糖、塩、昆布だしを入れて、よく混ぜて、合わせ酢を作る。

4.ご飯と3の合わせ酢を混ぜ合わせて、寿司飯を作る。

5.寿司飯を皿に盛り、上に刺身をのせたら、大葉と白ごまを散らして出来上がり。

薬味豆知識 〜すだち(スダチ)〜

「すだち」の語源は?

薬味のチカラ すだち(スダチ)は日本では古くから酢の代用品として用いられてきたという歴史があります。そのため、「すだち」という名称は「酢橘」すなわち「スダチバナ」という言葉から来ています。
酢橘という言葉が短くなって、「すだち」という名前になったという訳です。
元々は徳島県(阿波地方)の方言であるということで、国語辞典にも掲載されています。他にすだちの当て字としては「酸橘」「巣立」「酢立」「酢橘」「酢断」などもあったようです。
ちなみにこの酢橘に使われている「橘」というのもみかんのことです。
ひな祭りの段飾りでもお馴染みのあの木が「橘」です。